偶必。

〆切後の失速。
秋の夜長が心地よい。
そろそろ充電完了といきたいところ。




一夜明けても大聖堂に足を運び、
暫く椅子に腰掛ける。
11:48 IC433ケルン発
12:12 デュッセルドルフ
高校時代、英語を教えてもらった塾長の息子さんと会う。


当時、自分を含め3人の生徒に英語を教えてくれた。
週2日、部活帰りに英語。
高校時代は塾に行く事は考えていなかったが、
友人の勧めで通ったこの塾は、
自分の人生に大きな影響を与えたことは間違いない。
英語は勿論、人生について考えるきっかけを、
自身の体験からいろいろと話してもらった。
とりわけ、
「自分が先輩達に良くしてもらった事に対して恩返しをしたいと思うなら、
同じ事を自分の後輩達にしてあげなきゃいけないんですよ。」
という言葉は今でも強く残る。
末っ子の自分は、どちらかと言うと、
年上の人達との付き合いの方が落ち着くのだ。
今まで、いろんな場面でそうした先輩達に良くしてもらって、
何でも吸収しようとしていたし、
今でもそういうスタンスに変わりない。
けれども、後輩達に同じようにしてあげる事が苦手である。
あんまり意識する事でもないのかも知れないが、
何となくこの先も考えていくことになると思う。
塾長の言葉には、この他にもいろいろあって、
高校時代に聴けたってことが大きいし、
大学に入ってからも再会する度、背筋が伸びる。


そんな塾長には、旅に出る前に連絡しようと思っていた。
塾長に教わった英語や海外の体験談が、
自分の海外への興味に繋がっていることを。
「たまたま外務省の出向でデュッセルドルフにいるから、
立ち寄ってみなさい。」


出会いは不思議なものだ。


まさか息子さんと会う事になるとは。
美味しい昼食(ヴォリューム満点の肉・芋)とビール。
いろんな話で盛り上がる。
夜はYHを探す予定だったが、一晩泊めてもらえる事に。
来客が多いというお部屋はかなり広々としていた。
「実は今晩、所属のソフトボールチームのメンバーが日本に帰ることになって、
送別会があるんだよ。人数も多いし、全く知らない人しかいないから、
無理しないで部屋で休んでてもいいけど、どうしますか?」
デュッセルドルフは日本企業も多く、日本人が主催のソフトボールリーグがあり、
60チームもあるという。そういや日本人通りもあったな。
少し迷ったが、これも何かの縁ということで、参加した。
チームのメンバーは、領事館の方々と現地の日本料理店の方々。
貧乏学生とは次元の違う世界に戸惑う。
きっとこんな体験はもう出来ないと思った。


20人近い参加者の中で、自分と同じくチームに関係のない人がいた。
Kさんは、帰国するメンバーが経営していた日本料理店の、
支店の店長だった。
席が向かいだったこともあり、いろいろと話をした。
30歳くらいだったと思うが、日本を離れて10年近く経つ。
日本にいては日本がわからんと感じ、飛び出したと言う。
二次会も参加し、話の流れで明日の予定を聞かれる。
列車を乗り継ぎアムステルダムまで行く予定を告げると、
Kさんは驚き、一言。
「俺の店はアムスにある!」
翌日、車でアムスまで送ってくれる事を約束してくれ、
さらに、部屋も自由に使って良いとのこと。


出会いは不思議なものだ。